「動物再生医療の実用化を通じて動物とヒトの幸せを追求する」Vetanic Vol.8 【最終回】

ペット業界の未来を拓く、QAL経営 スペシャル鼎談


ゲスト

・枝村一弥(株式会社Vetanic社外取締役 技術ファウンダー、獣医師(博士))

・望月昭典(株式会社Vetanic代表取締役)


■チーム作りと役割。そしてこれからのiPS細胞の未来 続き


生田目:今後はiPS細胞が、そしてVetanicがどのような展開になっていくのでしょうか?


枝村:今私たちが言ったことは、夢として語っているのではありません。

ワンヘルスでのヒトと動物が一体となった医療展開を考えていて、むしろヒトではなかなかできないことを獣医のほうでファーストトライさせてもらうなどの連携も可能になると思っています。

実はアメリカでもワンヘルスの新薬作りは獣医のほうが最初に入ってくるものが多いのです。たとえば、ガリプラント錠は動物のほうをWHOが早く承認して、その貢献のもとに今度は人薬として持ってこようとしています。

そのように欧米では獣医がヒトの医療に貢献するワンヘルスになっていて、注目度が高まっています。


私たちは動物を治して、動物の健康を守ります。そしてワンヘルスとしてヒトへの転用を認めながら、たくさんのものを開発したいですね。

望月:私はもともとヒトの医薬品の開発をしていたので、ヒト医療の発展は動物の命の犠牲のもとに成り立っていることを重々承知しています。

しかし、なぜかそれはヒトに尽くされて終わってしまい、動物に返ってこないのです。

動物へ発展すれば、もっと多くの命が救えるのに、なぜそれをやらないのかという思いがあります。それが再生医療でできると感じています。


枝村:iPS細胞で臨床医療を行っているところは多々ありますが、製剤化はまだありません。私たちがファーストインクラスになるかもしれないと思えるほど、本当に良いチームになっています。医療の発展のためにぜひお力添えをお願いします。


生田目:もちろんです。本当に明るい未来が見えた気がします。Vetanicさんの活動を応援しております。

今回は大変貴重なお話をありがとうございます。


望月・枝村:こちらこそ、ありがとうございます。

ぜひこれからも、いろいろとご協力し業界を盛り上げていければと思います。



枝村 一弥(えだむら かずや)

  • 株式会社Vetanic社外取締役 技術ファウンダー、獣医師(博士)
  • 日本大学生物資源科学部 獣医学科 教授
  • 日本獣医再生医療学会副理事長、動物再生医療推進協議会副理事長
  • 日本獣医麻酔外科学会理事、日本小動物外科専門医

日本大学農獣医学部獣医学科を卒業し、獣医師免許を取得。東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻を修了し、博士(獣医学)を取得。同年より、日本大学生物資源科学部獣医学科獣医外科学研究室の助手として着任し、専任講師、准教授を経て、教授に就任。研究分野は、再生医療、獣医外科学、運動器疾患、理学療法である。(株)Vetanic立上に関わり、2021年に同社社外取締役に就任。


望月 昭典(もちづき あきのり)

  • 株式会社Vetanic代表取締役
  • 東京薬科大学院薬学研究科卒(薬学修士)
  • 東邦大学大学院医学研究科(医学博士)
  • 英国サウサンプトン大学(ポスドク)

富士レビオ(株)中央研究所入社後、そーせいグループ(株)代表執行役副社長に就任、バイオベンチャーの世界でのドラッグ・リポジショニングや事業開発、経営に携わる。その後、ペプチド医薬品や核酸医薬品を開発するベンチャーの取締役・副社長を歴任した後、動物向け再生医療をiPS細胞で実現することを目的に2021年に(株)Vetanicを設立。同社代表取締役に就任。