「共創」のすすめ方。vol.4

【ペットと人のニューノーマルを創造し、拡張するこれからのビジネスの作り方 #1 】

ゲスト:富士通総研エグゼクティブ・コンサルタント 柴崎辰彦 氏


■共創とは「編む力」である


生田目: ペット業界の中でも、ボランティア的に課題解決のために活動している人はたくさんいます。そもそも獣医療には社会貢献としての側面もありますから。しかし、その人たちはみんなバラバラに活動していて、ビジネスに転換できるまとまりになっていないのが現状だと思います。

だからこそ、「ペット業界にはビジネスとしての可能性がこれくらいある」と訴えるのではなく、「共通善」を掲げたコミュニティを目指したほうが多様なプレイヤーを動かせるということですね。なるほど。


柴崎: 例えば、子どもの頃にペットが大好きだったけど、獣医師にならずにITエンジニアになりましたというような人はたくさんいますよね。だから、「一緒にこの課題に取り組みましょう」という文脈で声をかけたら、いろんなところから手が挙がると思いますよ。


生田目: 柴崎さんのお話を伺ったことで、僕らが取り組むべき課題がクリアになった気がします。結局、いまのペット業界には、ペットと飼い主さんが抱えている課題と向き合い、それをどうビジネスにつなげていくか考えるための「場」がない。そこをいかに作っていくかということですね。


柴崎: 以前、「共創」をテーマに雑誌「AERA」から取材を受けたことがあります。そこで編集の方に言われたのは、「共創とは、編む力なんですね」ということでした。QAL startupsでいえば、ペット業界の方々だけで取り組むと、どうしてもモノトーンの布しかできない。しかし、そこにいろんな分野の人の知見も糸として織り込めば、カラフルで魅力のある布ができる。「共創がイノベーションを生む」とは、要するにそういうことなのだと思います。



- 対談を終えて -

ペット産業市場には数十年の歴史があり、すでに多くのプレイヤーが様々な事業を展開しています。そのため、ペットや人のために必要最低限のものは実は整っています。 しかし、それは1つの企業や個人の専門家が提供するサービスに限った話です。これからの社会で求められるサービスや商品は、複数の個人や企業が、共通の社会的な目標や目的に向かってともに作り上げていくもの。そうした意味において、ペットや動物医療の領域にはまだまだ十分な量のサービスや商品があるとは言えません。これらを連続的に作り出し、ペットに関わる世界を通じて世の中全体をより良いものにしていくためには、柴崎さんがお話しくださったように収益だけではなく社会的な視点を伴った「共創」が必要になることは間違いないと改めて感じました。動物の生活の質(Quality of Animal Life)向上のため、ペットと動物医療の世界において「共創」によるイノベーションを生み出していきたいと思いを新たにした柴崎さんとの対談でした。(生田目)



QAL startupsのより詳細な情報はウェブサイトより

https://qalstartups.co.jp/