その話は事実か意見か?

人とのコミュニケーションにおいて対話の能力は重要だ。


仕事においてはこの対話力によって

組織のパフォーマンスが変わる。


対面で話をすること以外にもコミュニケーション方法はある。


だが実際のところ、対面で話す以外の

文字だけでのやりとりが増えるほど、

ますます相手とのコミュニケーション自体が難しくなっていく。


一方、コミュニケーションの基本になる対話力については

伝え方に着目したたくさんの本が出ているが、

仕事の場面においては、伝え方よりも受け取り方でトラブルが起こることが多い。


受け取り方が難しい理由は、

こちらに先入観や感情がある事はもちろんのこと

人が話をするときに、

事実と意見が混ざって言葉として出てくるからだ。


事実(ファクト)と意見(オピニオン)


例えばこんな会話だ。


「今月は来院数が減っているけどなんでだと思う?」


「最近新しい病院もできて、そっちに患者さんが流れてるんだと思います。

 うちも新しい機器を導入して診療科を増やしていきましょうよ。」


「商品の販売数が予算も昨年実績も割ってしまっているけどなぜだろう…」


「うちの商品力の問題ですよね。

 もっとうちも商品力さえあれば売れるんですけどね。」


こういった会話が日常の仕事の場面ではよく繰り広げられる。


みんな仕事に対して自分の立場や自分の分かる範囲で一生懸命考えて意見を言う。


悪意がないからこそわかりづらくなるのだが、

先程の会話には"意見”はたくさん含まれているが

"事実"に基づいて話しているわけではない。


ファクトに基づいた情報のインプットなしに

オピニオンに基づいた情報をインプットし

オピニオンに基づいた情報処理や情報加工により仮説を作る。


そのオピニオンに基づいた仮説に従って戦略立案や意思決定をする。


それでも当たる時もある。

だがそれは、要するに"たまたま"と言うやつだ。


しかし経営者として人・モノ・金といった経営資源に対する意思決定の権限を持ち、

事業を継続させて、事業より良いものにしていく責任があるのであれば、

事実と意見を分けて聞く事は基礎スキルとして持つべきだ。


マスコミの報道や対談番組、

新聞や雑誌の記事を見ていても

事実と意見が混在している。


だから毎日それらを意識して見ていれば、

すぐに"事実と意見"の見分けがつくようになるはずだ。


経営者やプロのビジネスマンとしての実力を上げたい方は、ぜひ取り組んでほしい。