ペット事業「参入」を目指す、大企業との対話 vol.1

【ペットと人のニューノーマルを創造し、拡張するこれからのビジネスの作り方 #2 】

ゲスト:日本航空 イノベーション推進本部 宮崎昭彦 氏・磯﨑くるみ 氏


獣医療を起点とし、人とペットの間にある課題を解決するスタートアップスタジオ「QAL startups」。その中心メンバーにして、獣医師・連続起業家である生田目康道(QAL startups代表取締役)が、これからのペット業界に求められるビジネスの姿を探求していく連続対談シリーズ。


その第2回目は、日本航空(JAL)の社内新規事業支援プログラム「創造の翼」の事務局を務める、イノベーション推進本部の宮崎昭彦氏と、昨年同プログラムでペット関連事業を提案され、現在事業化に向けて奮闘されている磯﨑くるみ氏にお話を伺いました。


■航空会社でペット事業を提案した理由


生田目: まずはJALで社内新規事業を支援する「創造の翼」が始まった経緯について教えてください。


宮崎: 「創造の翼」は、「新たな事業領域への挑戦」を加速する具体的な取り組み施策のひとつとして、2017年に始まりました。“社内起業家オーディション”とも呼ばれているように、JALグループ全体の約3万人の社員から事業アイデアを募り、審査を経てファイナリストによるプレゼンテーションを行います。

公募の対象になるのは、『世界中のヒト・モノ・コトの距離を縮め、豊かな社会を実現する』を目指し、Travel(旅行)、Transportation(輸送)、Life(暮らし)の3つの領域に関係した事業アイデアです。プログラム通過者はイノベーション推進本部配下の「事業創造戦略部」に異動してもらい、事業化に向けたステップを踏んでいきます。


生田目: 磯﨑さんの提案されたペット関連事業「JALトラベルペットシッター」とは、どのようなものなのでしょうか?


磯﨑: JALがペットシッターサービスを提供する事業です。少子高齢化が進み、ペットの飼育頭数はいまや子どもの人口をはるかに上回っています。しかしその一方、ペットを飼っていることを理由に、旅行を断念される方がかなりの数いらっしゃいます。私自身も犬を3頭飼っているので、預け先を探すことの苦労は分かりますし、ペットたちと長く一緒にいるためにはどうしたらいいだろうと考えてきました。

私はもともと成田空港のラウンジに勤務していましたが、欧米から日本にいらっしゃる旅行者の方々は、時間のたっぷりとれるご高齢の方も多いのですが、日本から海外に行くこうした世代の旅行者の数はそれと比べるとずいぶんと少ない印象を持っていました。時間やお金に比較的余裕があるはずのこうした世代の旅行者がなかなか増えないのは、ペットの飼育頭数が増えている状況の中で、ペットオーナーの方々が旅行のしづらさを抱えていることも関係しているのではないかと思ったのが、この事業を発想したきっかけです。

いざ旅行をしたいと思っても、ペットがいることで二の足を踏んでしまう。旅行することをあきらめるか、ペットを飼うことをあきらめるか、という選択を迫られている方が多数いらっしゃる、その状況を改善したいと考えました。


>> https://qalstartups.co.jp/