ペット事業「参入」を目指す、大企業との対話 vol.2

【ペットと人のニューノーマルを創造し、拡張するこれからのビジネスの作り方 #2 】

ゲスト:日本航空 イノベーション推進本部 宮崎昭彦 氏・磯﨑くるみ 氏


■需要があっても、応えられていない


生田目:なるほど、ありがとうございます。たしかに、うちの両親も僕が子どもの頃は犬を何頭も飼っていたのに、いまは磯﨑さんのおっしゃられたような理由からインコくらいしか飼っていません。また飼ってほしいなとは思っているのですが、やはり自分で世話したり、旅行やレジャーの際の預け先を探したりするのは大変なんですよね。


磯﨑:そうなんです。一方で、ペットオーナーの方にインタビューをしていると、「ペットと一緒に旅行したい」という声もとても多くて。JALパックでは年に1回、「JAL ワンワンJET」という愛犬と一緒に搭乗できるチャーター便を販売しているのですが、こちらは抽選になるくらいの数の応募をいただきます。需要はあるのに、それに応えられていないのが現状なんです。


生田目:不勉強で申し訳ないのですが、いままでJALさんはペット関連の事業はやってこられたのでしょうか?


宮崎:なかったと思います。「JAL ワンワンJET」に加え、JALマイレージバンク会員さま向けに、「JALペットファミリー」というサービスもご用意していますが、どちらも事業というよりは、“顧客サービスのひとつ”としての提供でした。


磯﨑:だから、JALがペットシッターサービスというかたちで、この課題の解決に貢献できたら、ペットとペットオーナーの生活の質を上げることにつながるだけでなく、旅行需要それ自体を増やすことにもなると考えています。


宮崎:「創造の翼」の審査でも、本業である航空事業とのリンクが高く評価されました。ペットオーナーの方へのサービスという、これまでJALがケアできていなかった分野への期待です。もちろん、磯﨑さんの人柄と熱意に打たれたことも理由ですが。


生田目:素直にあったらいいなと感じるサービスです。JALさんのように大きな会社で、世の中からも信頼されている会社がペットシッターの事業を行えば、ペットを飼う人もさらに増えていくと思います。問題は、どうサービスの信頼性を担保するかですね。

これはJALさんがどう、ということではなく、ペット業界全体の課題だと思っています。日本でペットシッターの事業がなかなか広まらない理由は、そのほとんどがエリアごとの個人事業主さんに頼っていて、大手企業の参入がなかったことにあります。とはいえ、JALさんがペットシッター事業をゼロから立ち上げるのも、いろいろな困難があると思います。

結論から言えば、JALさんのような大手企業が動物病院と組み、シッターさんを認定する仕組みを作る。そのうえでJALのサービスを利用する人は、割引になるとか、マイレージが貯まるとかやっていく。そこから始めるのが一番の近道だと思います。


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