領収証は見ている

月末になると驚くことがある。


会社の幹部の一人。

彼は毎月大量の領収証を提出してくる。


しかもほとんどが普通の飲食店。

何ヶ月も厳しい経理のチェックを受けているのだが、

使途の不明なものや怪しいものは1つもない。


彼は自分の役割を果たすべく、

人と会って仕事をし、


自らが出すべき場面で適正に判断し、支払っている。


『オレは昼行燈だから』


いつもふざけてそう言っているが、

彼が本当に一生懸命仕事をしてくれていることを

周りは知っている。


さらに、付き合いで行った境界線上の領収証は

自分で捨てていることも知っている。


だからいつも『昼行燈』といじられながらも

彼はヒトとして幹部として信頼され愛されている。



領収証はある意味そのビジネスパーソンを映し出す鏡だ。

これは経営者であっても同じだ。


『昼行燈』さんのように

領収証で男を上げる人もいれば、


その逆で、

口では立派なことを言いながら

意地汚く領収証を切るようなヒトもいる。



領収証は見ている。



口でどんなにきれいなことを言っても

他人のお金をずるく領収証に変えてしまえば台無しだ。


どんなに攻撃的な交渉をしてもいい。

どんなに攻撃的な議論をしてもいい。


しかし、

領収証だけはきれいにしておきたいと思う。


その領収証をもらう前にほんの数秒自問してほしい。

『これは本当に使っていい経費なんだろうか?』


経営者をしていると

どうしても経費とそれ以外の境界線が甘くなる人が増える。

人間は完ぺきではない。


しかし、領収証をもらう時、

あなたが得をしたその小銭分以上に、

あなたは大きなものを失っているかもしれない。