「動物再生医療の実用化を通じて動物とヒトの幸せを追求する」Vetanic Vol.2

ペット業界の未来を拓く、QAL経営 スペシャル鼎談


ゲスト

・枝村一弥(株式会社Vetanic社外取締役 技術ファウンダー、獣医師(博士))

・望月昭典(株式会社Vetanic代表取締役)


■ Vetanicとは何か? 枝村一弥と望月昭典の出会い


生田目:御社が提供されている事業、サービスをお聞かせいただけますか?


枝村 :まずVetanicが何か、そしてどのようにして誕生したのかを話しておく必要があります。

Vetanicとは日本大学獣医学科と慶應義塾大学医学部の共同ベンチャー企業です。獣医学科とヒトの医学部が一緒に起業するのは非常に珍しいと思います。私たちのチームは独自のiPS細胞を生み出すことに成功し、それを特許化、事業化したのです。

iPS細胞をイヌの臨床応用に使うこと、そして再生医療製品を作りながら、同時にその先の技術やノウハウを研究しています。

生田目:ありがとうございます。

確かに、獣医学科と医学部が一緒に起業というのは聞いたことがありません。Vetanic自体がそもそも画期的な企業なのですね。

望月さんと一緒に事業を行うことになったきっかけは何だったのでしょうか?


枝村:きっかけはJST(国立研究開発法人科学技術振興機構)のプロジェクトに応募したことでした。

私たち大学の教員の研究費は、ほとんどの人が特許を取るか、論文を書くことに使ってしまいます。それが評価になるから仕方がない面もありますが、実際はみんな世の中を良くするために研究をしているはずなのに、その成果が活かしきれていないのが現状です。


その時にJSTで社会に還元できるような研究があるなら応募してほしいというプロジェクトがあったので、日本大学の知財部と協力してiPS細胞で参戦しました。その経営者候補を見つけるという流れで望月さんに出会ったのです。


望月:私はヒト向け医療品のバイオベンチャーをしていました。同時に事業支援コンサルティングをやろうと思って、あちこちのベンチャー企業を注視していて、その時に枝村先生のVetanicに出会いました。将来の経営者候補として参画してほしいというオファーをいただいて、お引き受けした形になります。


プロジェクトとしてのVetanicが会社になったのは、先程のJSTのあとに、インキュベーションプログラム(新規事業支援)への選考ステップに落ちたことがきっかけです。落選の逆境を力に変えて、「先生、こうなったら私たちで会社にしましょう!」と意気投合して起業しました。その時私も今までのコンサルティング業を辞めて、Vetanicに専念しようと決心しました。

枝村:ある日、電話がかかってきて「先生、登記しました」と連絡がありました。

それが2021年1月8日だったのです。その時はわかりませんでしたが、あとで聞いたら私の名前の「一弥(かずや)」に合わせて、1月8日を選んでくれたのです。ちょっと感動しましたね。


望月:実は1月8日の登記に間に合わせるため、年内に定款などを作らないといけなかったのでなかなか大変でした(笑)。

でも駆け足でしたが、そうやってVetanicは会社としてスタートしましたね。

Vol.3へ続く