教育の視点から愛玩動物看護師の可能性を考える Vol.2

獣医療において愛玩動物看護師の革命は起こるのか?
プロフェッショナルインタビューシリーズ


ゲスト

・福山貴昭(ヤマザキ動物看護大学動物看護学部 准教授、博士(学術)、愛玩動物看護師)


■現場主義に限界を感じ、学問の世界へ。発信者として活躍を広げる


生田目:早速ですが、福山先生の現在のご活動について教えていただけますか?


福山:ご紹介にもありました通り、私はヤマザキ動物看護大学にて教鞭を執っています。具体的には「グルーミングの理論と実習」、「イヌの特性」、そして第一種動物取扱業の災害時の対応等の授業を担当しています。

大学以外では、飼い主様・ペット関連従事者様への講演やグルーミングコンテストの審査員、犬の図鑑などの監修、そして商品開発なども行っています。


生田目:とても多岐にわたる活動をされていますね。

改めてお伺いしたいのですが、福山先生はご自身のことを何者であると定義しますか?


福山:ひと言で言うと「発信者」ですね。

大学院時代に先生から言われた「日本ではスペシャリストは多くいるが、それを繋ぐジェネラリストがいない。だからジェネラリストを目指してほしい」という教えに基づいた活動をしています。具体的には実験室と企業のマーケティング部門を繋いだり、研究データと実際の犬での効果比較を対外的に発表したりと、橋渡し役のような動きをしています。


生田目:ありがとうございます。「発信者」という定義は非常にしっくりきました。

私もたくさんの人とお会いしましたが、福山先生のポジショニングはオンリーワンだと感じました。特に就職されてから博士号を取られたとお聞きし、そのモチベーションを保つためのパワーの源にとても興味が湧きました。

どうしたらそこまで打ち込めるのでしょうか?


福山:そうですね、両親とも業界人で、動物業界に生まれ落ちたため幼少時からプロと変わらないほど動物に関わっていました。この境遇が絶対的な経験値に裏付けされたアドバンテージとして自身の中に存在していたため、誰にも負けないという自信に満ちあふれていました。


ところが教育現場に入ると、その経験に限界を感じてしまったのです。私より全然経験のない方たちが私の知らない知識を持っていて、すごくビックリしたのを覚えています。なぜこの人たちはそんなことを知っているんだと、ショックで胸に突き刺さりましたよ。でもそれが学問だと気づいてからは、とても面白くなりました。

獣医学はもちろん、栄養学や行動学などを知り、知識が増えることが楽しくてどんどんのめり込んでいきました。


実は私は最初に藝術大学を受験して、その夢が叶わず就職した経緯があります。感覚と経験派だった私が学問の世界に入って、その魅力の虜になったという経緯が、生田目さんのいうオンリーワンと言っていただけるポジショニングになったのだと思います。

Vol.3へ続く