ペット商材の流通と今後の市場展望 Vol.1

ペット産業で活躍する経営者や専門家をゲストに招き、日本の動物医療やペット産業の現状と将来について深掘りするセミナー形式のインタビューシリーズ。

国内では犬の飼育頭数が減少し、市場が厳しさを増していくことが予想されます。このような状況下で、私たちが取るべき市場判断と今後の施策とは何でしょうか。現状分析と市場展望を中心に、お話を伺っていきたいと思います。

(この記事は3名による対談セミナーから、井東様との対談を抜粋して掲載しています)


ゲスト

井東 正樹(いとう まさき)

ジャペル株式会社 取締役

 大規模流通システムでペット商材を届け続ける国内物流の要


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生田目

今回は、ジャペル株式会社の取締役を務められている井東正樹さんにお越しいただきました。

井東さんは、東京ビッグサイトで開催されたインターペット2024のビジネスセミナーで国内のペット市場全体の動向と展望に関してご講演いただきました。

改めまして、ペット商材の流通のプロである井東さんに、ペット関連商品の現状と今後の展開についてお伺いしたいと思います。本日はどうぞよろしくお願いいたします。



井東

どうぞよろしくお願いいたします。


生田目

それでは、私からジャペル株式会社に関して簡単にご紹介させていただきます。

ジャペルさんは、ペット用品卸売業におけるリーディングカンパニーの一つです。

1970年の設立当初は、米国からの商品を中心にペット関連商材の流通事業を立ち上げました。


1980年代からは国内量販店にも流通を拡大し、現在は専門店にも商品を卸されています。

全国に29カ所もの物流拠点と、「ペットワゴン」「ペットの道具屋さん」という2つの自社通販サイトによって、あらゆる地域への幅広い流通チャネルを構築しています。

また、老犬・老猫向けの福祉施設やペット用品ショップの運営、店舗運営サポートなど、多岐にわたる事業を展開されているペット業界におけるトップ企業の1社です。


井東

はい。ご紹介いただきありがとうございます。


生田目

QIXの商品の販売においては、ジャペルさんには日頃から大変お世話になっています。

その中でも井東さんは、営業面はもちろん、新規事業の開発や海外展開まで精力的に実施されています。

時代の変化を肌で感じ、それに対応してこられた歴史も踏まえて、普段はなかなか聞けない、物流視点でのペット市場の動向をお伺いしたいと思っています。改めて、どうぞよろしくお願いいたします。



井東

物流の話は、ペット業界の人でもなかなか聞かれることが少ないので、今回の企画をとても楽しみにしていました。

特に、獣医師であり企業家でもある生田目社長とのお話は、新しい事業や展開の可能性も広がると思います。本日はどうぞよろしくお願いいたします。


生田目

早速ですが、ペット市場に関してお伺いします。

ペット市場全体の規模は年々増加していますが、どのようなカテゴリーが特に伸びている印象ですか?

また、流通量の増加か商品単価の上昇でいうと、どちらが市場規模に影響していると感じられますか?


井東

そうですね。市場の成長とともに弊社の流通規模も拡大しています。

カテゴリーとしては、ペットフードやペット用品が特に伸びています。

統計データをみると、フードと用品を合わせた市場は4,500億円程度となっています。

弊社は国内ペット関連商品のおよそ3割を取り扱っていて、業界全体の動向を把握しやすい立場にあります。フードと用品の分野は従来からペット市場の主要部分を占めていますが、現在も高い成長率を維持していると認識しています。

この成長は商品個々の物流量が増えたからだという認識はないですね。

全体として品揃えが増えていること、商品の単価が上がっていること、この2点が市場規模を拡大させている要因だと感じます。

流通の主要な取引先は、ホームセンターやディスカウントストアで、弊社の売上の4割を占めています。

その次にドラッグストアが約3割となっています。

また、近年はEC系企業との取り引きが増加していることが特徴的です。

まだ件数としてインパクトはあまりありませんが、ペットサロンや動物病院からのニーズは増えています。

商品単価が上がる要因として、ケア製品や専門領域の商品が増えることも挙げられます。

専門性の高い商品を、専門家の説明のもと購入したいという層が一定数いることは確かです。

一方で、このような商品が市場に影響を与えるほどの物流を生むにはもう少し時間がかかるのではないかという認識です。

ただ、オンラインはもちろんオフラインの環境も急激に変化しているので、飼い主は購入したい商品の目的に応じて購入場所を選ぶようになっています。



Vol.2へつづく