ペット・動物医療業界を、まるごと変革。QAL startupsが目指す未来とは?vol.2

■ 業界内の課題と、業界外からの参入における課題


―ペット業界で解決したいことを突き詰めていったら、スタートアップスタジオにたどり着いた、と。では、生田目さんが「ペット業界において解決したい」と考えていた課題とは、具体的にどういうものだったのでしょう?

生田目:まず専門のコンサルティング会社がない。細分化された領域の専門家はいるのですが、根本の事業の立ち上げを支援する組織や団体がないんです。事業アイデアを持っている人はたくさんいても、最後のツメが甘くて、事業として成り立たないケースがたくさんある。そこを解決するために、総合的な支援ができるQAL startupsのような仕組みが必要だと感じていました。

―その「ツメが甘い部分」とは?

生田目:業界外からの参入で言うと、飼い主さんの目線だけで事業を考えてしまう。生活者のニーズは捉えていても、本質的に医療として正しくないものになっていたり、現場の獣医師が賛同しづらいものになっていたりと、配慮が行き届いていないことがけっこうあるんです。

高松:語弊を恐れずに言うと、「動物医療をハッキングする」と考えるのはいいんです。でも、テクノロジーファーストで考えすぎると、医療の現場で使いにくいものになったり、動物病院のオペレーションにはまらないものになったりしてしまう。

生田目:その一方で、既存のプレーヤー側では、業界のルールだけを満たしていて、生活者に利用してもらうための発想が抜けているから、事業が成り立たないものも多い。

:結局、飼い主さんの側、動物医療の先生たちの側の両方の課題を解決するようなサービスでなければ、広まっていかないのだと思います。でも、このQAL startupsは、そこを十二分に突破できる座組になっています。


生田目:挑戦が世の中を発展させるので、新規参入を否定するつもりはないのです。ただ、たとえば最近は、D2Cでペット向けの健康関連のプロダクトを開発するスタートアップが増えていますが、商品をオンラインで購入しやすい仕組みの方はできていても、肝心の健康関連のプロダクトそのものが、エビデンスベースになっていなかったりする。逆に既存のプレーヤーが作ったものは、商品はエビデンスベースなのに、生活者にとって圧倒的に買いづらかったりします。そういうことがペット業界には本当に多いんです。だからこそ、我々みたいな業界のプレーヤーがquantumさんと組むことに意味があると思っています。