ペット・動物医療業界を、まるごと変革。QAL startupsが目指す未来とは?vol.3

■ 子ども向けなら当たり前でも、ペット向けにはないサービス


―反対にquantumサイドですが、動物医療やペット業界にビジネスとしての可能性をどう見ていたのでしょう?


高松:ペット関連産業の市場規模は1.5兆円と、かなり大きなマーケットです。しかも、わんちゃん、ねこちゃんは、いまの日本に1800万頭もいて、これは18歳以下の子どもの数とほぼ一緒なんですね。数字だけ見ても、それだけの可能性がある。一方で、(人間の)子ども向けには当たり前にあるサービスも、ペット業界にはなかったりします。

ということは、レッドオーシャンに見えるマーケットだけど、見方を変えれば、まだまだ市場の広がる余地がある。だからこそ、ひとつのプロダクトやサービスで切り込んでいくのではなく、連続していろんな事業を生んでいくことが必要なのではないかと思いました。

―子ども向けには当たり前にあるサービスが、ペット業界にはない。それは、たとえばどういうものでしょうか?


高松:子どもと医療の関係で言えば、親はまず近所にかかりつけ医を探しますよね。しかも、できれば評判のいい医師を選びたい。これはペットの飼い主さんも一緒です。しかし、ペット業界では信頼できる獣医師を見つける方法があまりない。医師に関する情報(学歴や専門領域など)がほとんどオープンになっていないからです。

もちろん、そういう情報を公開することによって、不利益を被る方もいらっしゃると思います。ただ、昨年末に獣医師を対象にアンケート調査をしたところ、情報をオープンにすることにより、自分に対する信頼性を高めたいと考えていらっしゃる先生がかなりいることがわかりました。

だから、飼い主さんにとっても、獣医師にとっても、信頼できる動物病院の検索サービスがあれば、すごく喜ばれると思います。一般の病院では近いものはありますが、動物病院が対象となると、まだないですからね。


:そのレファレンスとして僕らが見ていたのは、アメリカの「ZocDoc」です。病院検索レビューサイトで、いまから行ける病院を検索でき、行ったあとには病院を評価できる。ただ、僕らは海外の事例をそのままやりたいわけではなく、いかに日本に合わせてカスタマイズして、飼い主さんと獣医師の両者の課題をいかに解いていくか。そこが大切です。これは一例ではありますが、そういうことを日々議論しています。