「顧客視点」と「実績」という、前進のための原動力。 vol.3

【ペットと人のニューノーマルを創造し、拡張するこれからのビジネスの作り方 #3 】

ゲスト:『水曜どうでしょう』チーフディレクター 藤村忠寿 氏


■役者もYouTubeも「勝手にやった」


生田目:もうひとつ、私がいまの藤村さんのお話に共感したのは、「一生懸命やればいいわけじゃない」というところです。


我々がいる動物医療の業界は、真面目な方が本当に多いんです。それ自体は当然悪いことではないのですが、みんなとにかく真面目だからこそ、自分のやり方、考え方にこだわりすぎて、組織の垣根を超えた新しいビジネスの創出につながらない。あるいは業界の外の人たちとの連携につながらない。そういうことが多々あります。


私たちがQAL startupsを立ち上げたのも、こうした問題をなんとかしたいと思ったからなんです。


藤村:みなさんとにかく真面目にやってらっしゃるだろう、というのは想像できます。ただ僕が思うのは、その「真面目にやっている」という中にあなたたちに頼む側、つまり、お客様からの視点が欠けていたりはしませんか、ということです。


もちろん、動物医療の方々が顧客視点を持つのって、簡単じゃないと思います。とはいえ、顧客視点がないといくら一生懸命やっても、みんなが求めているような新しいビジネスなんて生まれない。だからこそ、そういうことが得意な人に入ってもらう。理屈で考えたら、当然そうなりますよね。でも、そうはならない。


生田目:前例がないから、というのもありますね。


藤村:それはテレビ業界も一緒です。新しいことをやろうとしたら、ほぼ必ず言われます。


生田目:QAL startupsではまさに、その前例のないことに取り組んでいる真っ最中です。そこを突破するためのコツのようなものはあるのでしょうか?


藤村:僕は昔から、誰にも相談せずにやってしまいます。それで実績を作ってしまう。それしかないですよ。まず部長に話を通して……みたいなことはやったことがない。それをやったら絶対に潰されることが分かっているから(笑)。だから、僕は役者もYouTubeも(※)、会社には何も言わずに始めたんです。


※北海道テレビのディレクターとしての活動のほか、2014年ごろから役者として舞台に上がり、現在は自身の劇団(藤村源五郎一座)も旗揚げしている。また、2019年2月には、盟友の嬉野雅道ディレクターと共に、自身のYouTubeチャンネルも開設した。


生田目:社外活動も勝手にやったのはすごいですね。


藤村:YouTubeなんて、外の事務所と勝手に契約して始めましたから。会社には何の相談もしていません。でも、登録者数が10万人を超えた瞬間に、会社も止めようがなくなったんです。そこで辞めさせたら、会社が悪者になってしまうから。だから、とにかく始めて実績を作るのが一番ですね、好きなことをやるには。