「顧客視点」と「実績」という、前進のための原動力。 vol.6

【ペットと人のニューノーマルを創造し、拡張するこれからのビジネスの作り方 #3 】

ゲスト:『水曜どうでしょう』チーフディレクター 藤村忠寿 氏


■アイデンティティはいまも「北海道テレビ社員」


生田目:いまは役者もYouTuberもやられている藤村さんですが、この先目標にされていることはありますか?


藤村:特に目指したいものはないですね。番組も僕自身も「継続が大事」というか。


ずっと一緒に番組を作ってきた嬉野さん(「水曜どうでしょう」のカメラ担当ディレクター)とも、「息を吐くだけでおカネが入ってくるような仕事ってないかな」みたいな話ばかりしています(笑)。YouTubeを始めたのだって、嬉野さんから、「どうやら儲かるらしいよ」と聞いたからですよ。


藤村:もちろん、テレビの儲け方と何が違うのか知りたかったというのはあります。実際にやってみないと仕組みは分からないですからね。そうしたら、登録者数が37万人(2020年末時点)くらいになって。


これは北海道テレビの公式チャンネルどころか、テレビ朝日の公式チャンネルに匹敵するくらいの数です。つまり、僕らはYouTube上ではテレビ朝日と同じくらいの影響力がある。これってなんなのだろうとは考えます。


おそらく、日本の地方局の中には、トップYouTuberに広告収入で抜かれているところがありますよ。そんなに儲かるなら、オレもやってみようとなるでしょう? 普通に考えて(笑)。


生田目:そこで「やらない理由」を考えないのが藤村さんらしいですね(笑)。


最後に、ご自身のアイデンティティはどのように定義されていますか。テレビマンですか、それともひとりのクリエイターでしょうか。


藤村:なんでしょうね。……でも、会社員であるということは常に意識しています。


生田目:なるほど。


藤村:年末調整の準備をしなきゃ、とか。そういうのが意外とアイデンティティになっているような気がするんですよ。会社ありきでしかものを考えられないですね。


生田目:つまり、役者をやっても、YouTuberをやっても、アイデンティティは「北海道テレビ社員」だと。


藤村:ええ。「会社員なのに」っていうところがなくなって、フリーランスになったら、僕のやっていることなんて普通になると思うんですよね。会社の中にいて、でも組織の論理とは対極のことをやっているから意味があるというか。「会社のやり方とは真逆の方法で会社をなんとか変えようとしている人」っていうのが、いちばん自分にしっくり来る表現ですね。