周囲を巻き込む、「未来の物語」の描き方。 vol.2

【ペットと人のニューノーマルを創造し、拡張するこれからのビジネスの作り方 #4 】

ゲスト:quantum執行役員 川下和彦 氏


■やらせてみることで主体性を育成する


生田目: 事業は仕組み化することが必要です。起業家が妄想するだけでは事業になりません。いわゆる管理部長の役割がすごく大切でもある。起業家本人にとっては窮屈に感じられても、安定して収益を上げられる仕組みを作ることでやれることが増え、事業が拡大していく。


面白いアイデアを思いつくかどうかは正直、本人のセンスによるところがあると思います。しかし、この仕組みづくりの部分は教えることができるのではないか。


例えば、子どもに料理を教えるとき、いきなり包丁を持たせてもケガしますよね。まずは目玉焼きの作り方を見せてあげて、それに慣れたら次は卵焼き、次は出汁巻き……と徐々にステップアップしていきます。


すると、レシピを真似するだけでなく、「ちょっと味付けを変えてみよう」なんてオリジナルの発想も出てくる。そういう起業家育成ができないかと、私はQAL startupsで考えているんです。


川下: いいテーマですね。私も自分がやってきたことを再現性あるかたちで伝えるのが難しいと常々感じていました。野生の勘みたいなところでやってきた部分もあるから、どうしても手法が属人的になってしまうんです。どこまでいっても個人の経験やセンスに拠るところはありますが、新規事業開発における物語の作り方を先ほどご紹介いただいたようにnote(https://note.com/kazukawashita/n/n732bbf097430)にまとめるようになったのも、多種多様なプロジェクトを支援できる方法論をつくりたいと思ったからです。


それでいうと、生田目さんのお話を聞いて、技術を教えるだけでなく、その過程で「自分にもできるんだ」という小さな成功体験を積み重ねてもらうことも重要なのではないかと感じました。

先ほどの例ならば、まったく料理をしたことがない人でも、「自分にもこんなきれいに目玉焼きを作れるんだ」と感動することで、「もっとやってみよう」と前のめりになる。それが新規事業開発に欠かせない主体性の育成につながるのではないでしょうか。