獣医師にも「ビジネスマインド」を。vol.2

【ペットと人のニューノーマルを創造し、拡張するこれからのビジネスの作り方 #5 】

ゲスト:東京農工大学名誉教授・獣医師 岩﨑利郎 先生

■獣医師がマネジメントを学ぶメリット


岩﨑: いずれにせよ、獣医師にはもっとビジネスマインドを持ってもらいたいですね。特に人手不足やそれによる労働環境のシビアさが課題になっている中で、マネジメントは勉強してほしい。


生田目: しかし、そこは大学の獣医学部でも教えていないですよね。


岩﨑: 教えないのではなく、教えられる人がいないんですよ。大規模な病院でマネジメントをやってらっしゃる先生方も、ほとんど自己流でやられているというのが現実です。MBAを取得されているなんていう方は非常に珍しい。ただ、病院を一般企業と同じような視点でマネジメントしていくという方向性は決して悪くありません。


この業界では、医療は神聖なものという考え方が根強かった。20年くらい前でも、病院の株式会社化に対してものすごい抵抗があったものです。議論にあげることすらはばかられるような時期もありました。医療は金儲けじゃない、というわけですね。


しかし、そう言っていた人たちも、いまではみんな自分の病院を株式会社化していますよね。世の中そういうものです。だから、獣医師がマネジメントを学ぶ場も、やがて自然に求められるようになるのではないかとも思っています。


生田目: あえてうかがいますが、病院を一般企業化した際のメリットは?


岩﨑: 労働環境がきちんと整い、人手不足が解消されてくることです。例えば、中国には動物医療の従事者を教育する専門の会社があります。企業体として病院をグループ化して、新人を決められたカリキュラムで教育して送り出す。そういうシステムができつつあるから、中国の動物医療の業界は急速に拡大してきています。


生田目: 僕がいつも思うことなのですが、中国だって動物医療の市場が日本の何倍も大きいわけではない。しかし、そこでビジネスを生み出してやろうという意欲のある人たちが、中国にはたくさんいて、どんどん実際に新しいサービスが作られていく。これはアメリカにしてもそうです。だから、「獣医師にもビジネスマインドを」という岩﨑先生の言葉には、まったくもって賛成です。あえて付け足すならば、「日本の獣医師にも、ビジネスマインドを」ということでしょうか。


法律や制度、国ごとの業界慣習の違いはもちろんあるにせよ、それを乗り越えようとチャレンジする人が日本にももっと出てきてもいいと思うんです。


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