起業のリアル。vol.2

【ペットと人のニューノーマルを創造し、拡張するこれからのビジネスの作り方 #6 】

ゲスト:「DG TAKANO」代表・高野雅彰氏

■10億稼ごうと思っても10億は稼げない


生田目: 実は私も29歳で独立したので、親近感を感じてしまいますね。しかし、高野さんほどしっかりしたビジョンはなかった。


高野: いや、僕も最初はぼんやりした動機ですよ。大阪という商人の街で生まれ育ちましたから、「とりあえずカネ稼げることやらな」くらいの感覚でした(笑)。目標は40歳までに一生分を稼いで引退すること。サラリーマンの生涯年収が3億として、短期間で稼いだら半分は税金で持っていかれる。だったら倍で6億は必要だと。


ただ、僕の性格からすると、6億儲けようとしたら6億にはなりません。10億くらい儲けることを目指さないと。そう考えたとき、最初は「そんなん無理や」と思いました。


いや、そうじゃない。もっと発想を変えないといけない。それで目標をはるか彼方に置くことにしたんです。当時は誰にも言いませんでしたけど、目標は100億に設定しました。100億のビジネスを考えることができたら、10%しか達成できなくても10億になる。すると、やれる気がしてきた。そういう順番です。


生田目: 今の若い人が、100億規模のビジネスをベンチャーで立ち上げると言うならまだわかりますが、高野さんの起業された時代では相当に高い目標設定ではないですか。


高野: そうですね。100億のビジネスを実現するには、日本でしか売れないものを作ってもしょうがない。世界に売れるものを作らないといけない。では、世界的な社会課題とは何か?を日々調べ、考えていました。


そんな中で、偶然、他社の節水製品の販売の相談を持ち掛けられ、そこで節水市場のことを初めて知りました。調べてみると、節水のニーズは世界中にある。しかも、当時の節水ノズル市場を調べたら、環境系の会社が手掛けているケースが多く、大企業やモノ作りに特化した会社の参入が少なかった。そのため、製品の技術レベルが低いものばかりだったのです。


営業力もブランド力もないベンチャー企業が世の中に出ていくためには、性能差が数値ですぐにわかることが重要で、この場合は節水率が世界1位であること。僕は町工場の三代目でしたから、親父の工場の技術や設備を使えば世界で一番が取れると思いました。


そうやって100億のビジネスを実現するためのひとつひとつの条件をクリアできると確信したから、節水ノズル市場に参入したんです。


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