オンライン診療で獣医療の幅を広げ動物病院の業務効率化を叶えたい Vol.3

【 QAL startups流 新規事業の作り方 #3 】


ゲスト

  • 浅沼 直之(株式会社みるペット代表取締役社長)
  • 石川 直人(株式会社みるペット取締役)


■みるペット立ち上げの経緯と今日まで


生田目: まだ、オンライン診療という領域は獣医療業界では一般的ではないと思うのですが、浅沼さんはどのような経緯でみるペットを立ち上げられたのですか?

浅沼: 私は北里大学獣医畜産学部(現獣医学部)を卒業後、一般開業動物病院、企業系動物病院で勤務し、院長を経験しました。その後に動物用医薬品会社であるメリアル・ジャパン株式会社にてコンパニオン・アニマル部の学術営業として従事したのち、株式会社みるペットを創業しました。


生田目: 浅沼さんは獣医師からメーカーの営業へ転職された後に独立されましたが、かなり思い切った決断だと思います。何か強い思いがあったのですか?


浅沼: そうですね。まず2018年に人のオンライン診療ができるというニュースを見た時に、これは動物病院にも必ず活用できると感じました。私の感覚になりますが、人向けのシステムが動物に応用されるには、どんなに早くても5年はかかります。このまま待っていたら5年は経ってしまうと感じました。私は獣医師としての立場、メーカーとしての立場、そしてペットの飼い主という立場、どれもわかります。だからこそ、オンライン診療は必ず広がっていく確信があり、私がサービスを作りたいという思いが芽生え、スタートさせました。


生田目: なるほど。海外でのオンライン診療はどうなっているのでしょうか? たとえばアメリカの医療では法律は整備されているのですか?


浅沼: アメリカは州によって異なります。州法で大丈夫な州もありますし、認めていない州もあります。全土ではまだ統一されていません。


生田目: そうなんですね。中国ではWeChat(SNS)が盛んなので、気軽に先生にビデオ通話をかけてしまって、代金の回収に困っているという話を聞きます。みるペットは決済のサービスもあるのでその点もカバーできそうですね。


浅沼: ビデオ通話は既存のツール、たとえばLINEやZoomでも可能ですが、決済のシステムは手間がかかります。みるペットはそこが整備されていることが強みです。