【ペット業界の未来を拓く、QAL経営】
ゲスト
・山瀬穂高(株式会社ホームトリマー 代表取締役/CEO)
■事業提供を行うきっかけ ~トリマーの報酬問題~ 続き
生田目:リクルート社の人材専門分野で働かれていた山瀬さんから見ると、トリマー業界で足りていないのはどのあたりだと感じていますか?
山 瀬:まず一番飼育頭数が多い犬種のトイ・プードルで売り上げが8,000~9,000円なので、その点からも厳しいと感じました。利益が少ないから、トリマーさん自身が生活にも、自分で勉強することにも余裕がなく、色々な部分に投資ができないわけです。
そしてペット業界の方は本当に動物が大好きで、自己犠牲的な方が多いと感じています。
生田目:そうですね。責任感が強くて、我慢強く無理をしてしまう人が一定数いると思います。
山 瀬:それがまた問題で、「自分が我慢すればいい」ということでは、いつまで経っても改善されません。ペット業界は勉強中の私ですが、だからこそ客観的に現状を見ることができます。世の中の平均水準を満たすぐらいのボーダーを目指すことが重要だと思いました。
生田目:ペット業界でも、一部のグループ経営を行っている企業で改善されている部分はありますが、確かにまだまだ業界の対処すべき課題が残されていますね。
山 瀬:そのような状況を少しでも変えるために、私たちはトリマーさん個人の価値観に沿った働き方を提供できるようなシステムを開発しました。
それをITによる勤務管理で行い、好きなタイミングで働くことができる「訪問トリマー」というコンセプトを立ち上げたところ、トリマーさんからはもちろん、飼い主様からも非常に喜んでいただけています。まだまだ改善点は多くありますので、これから業界内外の方からお話を伺ってアップデートしていければと思っています。
■今後の展開
生田目:我々も多くのトリミング施設の経営や運営補助を行う中で、経営や運営の問題点を抱える施設をたびたび見かけます。
ホームトリマーさんとしては、どのように課題を解決していくのでしょうか。
山 瀬:まずはトリマーさんのクオリティ向上を目指し、現場での安全管理能力やトリミングの技術、接客能力のレベルなどをチェックします。そして動物看護やトリミングの学校で教員を務めるスタッフにランダムで現場に同行してもらい、現場のフィードバックとして指導を行います。
また、トリマーさんの働く環境自体の改革にも着手しています。今まではサロンでしっかり働くか、自分のお店を持つというキャリアプランが主だったため、結婚・出産などでライフステージが変わる際に仕事を辞めてしまう人も多くいました。
ですが、弊社は週に1回、1頭からでもトリマーとして働ける現場を作っており、それぞれのトリマーさんごとの生活に合わせることができるので、仕事を続けることができます。
生田目:構造的な改革を行っているということですね。
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