日本で唯一の動物看護専門誌「as」から動物看護専門月刊誌「動物看護」へ Vol.6【最終回】

獣医療において愛玩動物看護師の革命は起こるのか?
プロフェッショナルインタビューシリーズ


ゲスト

・高橋真規子

(株式会社EDUWARD Press 動物看護専門誌「動物看護」編集長、愛玩動物看護師)

・酒井麻有

(株式会社EDUWARD Press 動物看護専門誌「動物看護」担当、愛玩動物看護師)


■雑誌「動物看護」が目指すところ


高橋:EDUWARD Pressの動物看護事業では「愛玩動物看護師が輝ける未来を共につくる」を方針として掲げています。国家資格化までの道のりはとても長いものでした。

しかしこれはゴールではなく、スタートラインに立てただけなのです。国家資格を取得したことで“燃え尽き症候群”になってしまうことなく、「学びたいことがまだまだある!」「私はこの分野に関心がある」「成長しつづけなければ!」と気づいていただけるような、月刊「動物看護」が“学びの誘導路”になりたいと思います。


また、愛玩動物看護師の処遇改善は急務です。地域によっては、国家資格になっても初任給が最低賃金という現実があります。残念ながら、業界ではこれまで獣医師から仕事や収入を分け与えられている印象が根強いと感じる場面が多くありました。

有資格者としては、動物たちへ質の高い動物看護を提供することで、臨床であれば病院収益UPに直接愛玩動物看護師が貢献できるような仕組みづくりが必要です。


生田目:確かにそのような仕組みづくりは重要ですね。活躍の幅を広げ、しっかりと自分で稼げる職にすべきだと思います。


高橋:「堂々としっかり稼げる愛玩動物看護師」になるために何をすべきか、どんな力をつけるべきかを、読者の皆さんと共に考えたいと思います。そして国家資格になったからには、子どもたちがなりたいと思う職業上位に愛玩動物看護師が常にランクインされるくらい、希望いっぱいの未来広がる職業にしていかなければなりません。めざせ!「自分の子供になってほしい職業第1位」「恋人になってほしい職業第1位」「家族を養える職業第1位」……等々。職業啓発のためにも「動物看護技術」を楽しみながら競い合うイベントなども企画できたらいいなと夢が広がりますね!

生田目:壮大な夢ですね!職業啓発のための技術系イベントもぜひ開催していただきたいです。皆さんのモチベーションにつながりそうな内容でとても良いですね。酒井さんはいかがでしょうか?

酒井:「夢」の話は編集長がしてくださったので、私はもう少し固めの話をしますね(笑)。近年の動物看護教育は、国家資格化に向けた高位平準化の動きを受け、一昔前は比べ物にならないくらいレベルが上がったと思います。

そのため、現任者と新人スタッフの間のレベル差に悩まれる方も多いかと思います。確かな知識と技術の提供は臨床現場で活躍していく愛玩動物看護師に必ず求められるものです。


しかし、それに「責任」が不随していなければ社会的な責務を果たしているとは言えません。現任者は新人スタッフに愛玩動物看護師としての責任の負い方を、新人スタッフは動物病院に貢献できるだけの技術を、それぞれ提供し、互いに高めあっていくことが求められると思います。そのために必要な“情報”を「動物看護」が提供すべく、特集と連載を強化していきたいと考えています。


生田目:ありがとうございます。

これからも国内唯一の動物看護専門誌として「愛玩動物看護師」に寄り添い、一緒に成長していっていただければと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました。



高橋 真規子(たかはし まきこ)

  • 株式会社EDUWARD Press 動物看護専門誌「動物看護」編集長
  • 愛玩動物看護師


1999年 学校法人ヤマザキ学園 専修学校 日本動物学院 動物管理学科(現ヤマザキ動物専門学校)卒業後、埼玉県の動物病院で動物看護師として勤務。動物アレルギーによる喘息発作が原因で泣く泣く現場を離れる。2000年7月 株式会社インターズー(現 EDUWARD Press)入社。主に「as」、愛玩動物看護師カリキュラム準拠教科書(31科目分)、愛玩動物看護師国家試験対策書籍(参考書・問題集)等の企画・制作を行う。

2008年設立準備会発起人となり、2009年一般社団法人日本動物看護職協会1~3期広域理事を務める(現在、関東甲信越支部代議員)。8年ぶりに「as」編集長に再任。

プライベートでは、埼玉県自閉症協会理事。日本福祉大学3年次に在籍し、「動物」と「社会福祉」をつなぐことをライフワークとして学び中。

酒井 麻有(さかい まゆ)

  • 株式会社EDUWARD Press 動物看護専門誌「動物看護」担当
  • 愛玩動物看護師


2016年 日本獣医生命科学大学 獣医保健看護学科 卒業

2018年日本獣医生命科学大学大学院 獣医生命科学研究科 獣医保健看護学専攻博士前期課程修了

2018年4月 株式会社インターズー(現EDUWARD Press)入社

現在まで動物看護専門誌「as」を担当。一般社団法人日本動物看護職協会正会員。白文鳥を8年間飼育していたため、重度の小鳥好き。長年、犬派/猫派は中立の立場を保っていたが、祖母が猫と暮らし始めてから猫派に傾いている。