教育の視点から愛玩動物看護師の可能性を考える Vol.6

獣医療において愛玩動物看護師の革命は起こるのか?
プロフェッショナルインタビューシリーズ


ゲスト

・福山貴昭(ヤマザキ動物看護大学動物看護学部 准教授、博士(学術)、愛玩動物看護師)


■もっと付加価値を高め、1円でも多く給料が貰えるように!


生田目:国家資格化されたとはいえ、いまだ手探りである部分も多い愛玩動物看護師ですが、今後彼らはどのような立場として活躍していくと思われますか? またその可能性について福山先生のお考えを教えてください。

福山:教育面から言えば、動物病院に必須の防災である「災害時事業継続計画(BCP)」作成知識などを身に付けることで、新たな付加価値と活躍の場が生まれると考えています。これはBCPを整備している動物病院が全体の7%に満たない現状を鑑みて、知識を持つ愛玩動物看護師が院長に代わって補うという発想から進めています。

この件も含め、個人的にはキレイごとなしに「1円でも多く給与を貰える教育」が必要だと考え、付加価値の部分を強化していきたいと考えています。


生田目:ありがとうございます。国家資格化によって職域は変わるのでしょうか?


福山:それは変わらないでしょう。愛玩動物看護師の教育として当面の目標は、診療補助という専門分野を完全にこなす職業人の育成です。

将来的には、その上に位置する2つのプランを個人的に検討しています。

1つが診療看護師です。専門分野での診療が認められている特定看護師よりも担当できる範囲が広く、医師不足をカバーしている診療看護師がヒト医療には存在しています。獣医療でも獣医師不足が起こっている現状では、タスクシフトやタスクシェアは必然ですので、看護スペシャリストを育成できる診療看護師制度が整えばその解決策になると考えています。

それは我々が挑戦すべきミッションの1つだと使命感を持って考えています。


生田目:非常に優れたビジョンをお持ちですね。2つ目はどのようなものでしょうか?


福山:地方都市での獣医師不足に対応できる動物看護師という職域を作ることです。愛玩動物看護師は対象動物が愛玩動物に限定されていますが、この冠を外し、産業動物の診療にまで拡大したいです。

産業動物分野での獣医師不足問題に寄与できれば、動物看護師の社会的地位や期待値の向上のためにも非常に有効だと考えています。


生田目:こちらも非常に衝撃的なお話です。まずは動物看護師という職域を作り出すことで役割を明確にすることができますね。

Vol.7へ続く