国家資格化に向けて奔走した日本動物看護職協会。会長から見る愛玩動物看護師の未来 Vol.6

獣医療において愛玩動物看護師の革命は起こるのか?
プロフェッショナルインタビューシリーズ


ゲスト

・横田淳子(一般社団法人 日本動物看護職協会会長、愛玩動物看護師)


■「まさか愛玩という名称が付くとは……」。国家資格「愛玩動物看護師」は数々の折衝のうえに生まれた 続き


生田目:教育に関連してもう1点お伺いします。

学生のうちに動物看護の高度/専門教育を学ばれた方は、国家資格化による環境の改善に希望が持てると思います。しかし、今日までにそのような教育機関で学ぶことなく国家試験の勉強を頑張った現任者(いわゆるベテラン層)もいますよね。このような層のレベルの底上げを図るにはどのようなことを整えていくべきなのでしょうか?

横田:「日常業務の技術」と「自分の興味のある分野」の2軸で、レベルアップを図っていただくことが良いと思います。今、動物看護業界は過渡期です。本協会が設立してから14年の間に現任者の方々には2度も試験を課してしまいました。このような業界は他にはないと思います。


国家資格にするために全国統一の資格を設け、高位平準化を図ることは大切なことなのだと思い、統一の認定資格をつくりました。いざ国家資格にするために法律を整備する段階になった際、認定資格をそのまま国家資格へとスライドさせることはできないという事実を目の当たりにしました。ですが、国家資格となった背景には、統一資格である認定動物看護師の登録が2万人を超えた、ということが大きく反映されており、この事実がなければ国家資格化は実現しませんでした。


動物看護職協会の会長として、過去2回の試験を突破して、現在、愛玩動物看護師という職に就いているベテラン層の方々には、本当に頭が下がる思いです。


生田目:今までは勉強することの意味や方向が見えなかったため模索することも多かったと思います。そのような中で「動物看護職」としての方向性が見えただけでも職業として働きやすくなったと感じますがいかがでしょうか。


横田:そうだと思います。日々の業務の中で、例えば「飼い主さんへ説明するためのツール」を一つ作成するにしても、自分が行ってきた勉強を思い起こしてほしいです。しっかりと教育を受けて勉強してきた方々は、就職してからの伸びしろも大きいと私は感じています。


生田目:“土台がしっかりしていない上には高い建物は立たない”ということですね。


横田:それだけ教育が大切なんです。きちんと目指すべきものが見出せるような教育を教育現場では行っていただきたいと思っています。

Vol.7へ続く