獣医療において愛玩動物看護師の革命は起こるのか?
プロフェッショナルインタビューシリーズ
ゲスト
・石岡克己(一般社団法人日本動物看護学会理事長、獣医師、博士(獣医学))
■愛玩動物看護師の今後とその可能性について
生田目:様々な分野での活躍が期待できる愛玩動物看護師ですが、石岡先生は彼らにどのような活躍をしていってほしいと考えていらっしゃいますか?
石 岡:愛玩動物看護師が活躍する場として、既に注目を集めている領域と、これから注目が増えていく領域があると思います。愛玩動物看護師資格は、ご存じのように農林水産省と環境省の2つが主務省となっています。
このような資格はかなり珍しく、愛玩動物看護師の免許状を見ると、農林水産大臣と環境大臣の名前が並んでいて、なかなか壮観です。
農林水産省は動物の看護に関する部分、環境省は適正飼養に関する部分に対応しています。前者は病気が関連する部分で動物病院での業務、後者はより日常的な部分での支援にそれぞれ関係が深いです。両方が関係する部分も多くあります。
生田目:おっしゃる通り、主務省が2つ存在することはとても珍しいですね。それぞれ具体的にどのような領域なのでしょうか?
石 岡:まず、前者の動物の看護については、日本でも30年以上前から一部の現場では高度な業務に対応した動物看護師が活躍してきました。動物看護師の国家資格化が話題に出たのは1980年代ですが、時期尚早とされたのは、高度な業務に対応できる動物看護師のニーズがまだ少なかったことが理由の一つと思います。
しかし、レベルの高い動物病院がどんどん増えて、むしろ法律の対応が遅れているというのが近年の現実でした。その意味では、やっと法律が現実の課題に追いついたというのが正しいようにも思います。
一方、後者の適正飼養ですが、こちらはまだあまり注目されておらず、これから発展していく領域でしょう。実務経験によらず動物取扱責任者になれるのは獣医師と愛玩動物看護師のみです。行政や様々な動物関係の職場でも、動物が関連する分野では愛玩動物看護師を優先的に採用する流れができていくことを期待しています。
生田目:ありがとうございます。石岡先生としては、愛玩動物看護師たちが今後どのような方向に進んでいくことが望ましいとお考えでしょうか?
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