「報・連・相」ではなく「連・相・報」にせよ。
これは単なる順序変更ではない。
組織における人と人の接続構造を再設計する、本質的な構造改革である。
経営の現場で繰り返される「報告が遅い」「相談がない」という問題の根源は、個人の意識ではなく、この構造の欠陥にある。
「報・連・相」は、一方通行の評価装置だ
なぜ旧来の「報・連・相」は機能しないのか。
最初に「報告」が来る構造では、結果が出てから初めて情報が上役に届く。
つまり、上司はプロセスに関与できず、最後に通知を受けるだけの傍観者となる。これでは、報告の場が部下を裁定する評価装置に変わるだけだ。健全な相談も連携も生まれず、部下は失敗を恐れ情報を抱え込む。
「連・相・報」は、関係性をつくる共創フローだ
一方、「連・相・報」の起点は「連絡」にある。
結論なき違和感や事実の断片を即座に共有する。この初動が、上司を安心して関与できる当事者へと変えるのだ。
続く「相談」の段階で、孤独な決断は「共に創る」対話へと昇華する。上司と部下は、ここで初めて課題に対する共犯者となる。
そして最後の「報告」。
これはもはや事後通知ではない。プロセスを共有した者同士の、最終確認に過ぎない。驚きも叱責もなく、そこには次の一手への合意があるだけだ。これが信頼を実装する組織の設計図である。
構造が、成果の質を変える
「報・連・相」の構造下では、上司は傍観者に、部下は沈黙する者に追い込まれる。関係は断絶し、問題は深くなる。「なぜ早く言わなかった」という嘆きは、その構造自体が発している悲鳴なのだ。
ならば、順序を変えよ。
順序が構造を変える。構造が関係性を変える。そして、再構築された関係性が、組織が生み出す成果の質を根本から変える。これは精神論ではない。組織の性能を高めるための設計論だ。
そもそも、「報・連・相」を律儀に守っている人間は、仕事ができない印象を与える。なぜなら、結果が出るまで動かないその姿勢は、上司や仲間からすれば反応が遅すぎるからだ。
まず、完璧ではない一つの「連絡」をチームに投じよ。
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