寡黙な巨人の高尚なる生涯


白髪の巨人。

その勇ましい姿を、14年もの間見てきた。


あなたはいつも寡黙で、

そしてじっくり考える。


その寡黙さから想像できないほど

熱い情熱を内に秘めていて


どんなに難しい状況でも

静かに燃える魅力溢れるヒトだった。



初めて会ったのは博多。

あなたが44歳の時。


面接を兼ねた会食だというのに、

あなたはその大事な日でも寡黙だった。


一つ一つ言葉をきちんと伝わるよう、

大切に選びながら、


『普通の獣医師として一生現場で仕事をしたい』

『技術だけじゃなく、飼い主さんに寄りそう診療がしたい』


あなたはこれだけははっきりと、そして強く言った。

情熱をこめて。



それからの14年。


プリモの獣医師として仕事を始めてからも、

あなたがその想いを変えることはなかった。


院長になっても、

エリア長になっても、

執行役員になっても。


どのポジションで、

どの病院で働いたときでも。

あなたはいつでも理想の獣医師だった。



あなたがプリモに遺したもの


それは、


部下を大切に想う姿勢。

できる限り動物たちの声を聞く診療。

一生寄り添えるような動物病院であるべきだという思想。

ホームドクターとして、東京でいちばん動物にやさしい動物病院になりたいという志。

「神は細部に宿る。簡単な手術こそ全力でやる」という、獣医師としての誇り。



一生臨床家として獣医師を続けること。

一生臨床家として成長し続けること。 


これが自分の夢だと静かに語りながら、

どんな場面でも手を抜かなかった。


あなたの生き様。

あなたの『勇ましく高尚なる生涯』


それがあなたが遺した最も尊いものだ。





最後の瞬間が近づく中で、


あなたの息子が

あなたの黒い手帳をめくりながら

あなたの生きた痕跡を探す姿を見て


私たちは知った。


あなたが動物たちのためにその身を捧げる真の獣医師でありながら


同時に、立派な父親でもあったことを。



あまりにも早すぎるお別れを、

本当の意味で受け入れることは難しすぎる。


だが、私たちはこれからも

あなたのその『勇ましく高尚なる生涯』を

語り継いでいきたいと思う。


そして、あなたとあの時約束したこと。


日本でいちばん人を大切にする動物病院を作って

プリモ動物病院を、日本を代表する動物病院にする。


あなたとプリモに関わるすべての人たちのために実現したいと強く思う。